JiE新舘俊輔の「売り場がメディアになる日」日本情報流通株式会社
2009/10/31

小売店の未来 最終回(2009年7月)

前回、「買い物をしたくなる」工夫の一つ目として、「楽しい物語の提案」というテーマを提案した。二つ目はズバリ「可能性体験」を提案したい。

そもそも我々にとって、買い物そのものは手段であって、目的ではない。(お金を使うことの快感も、あるにはあるが。)言わずもがな我々は、買ったものによって生まれる「体験」と、その体験が得られる「可能性の広がり」を手に入れるため、買い物をするのだ。そして売り場では、買い物客は瞬間瞬間に、それらの体験を想像し、その可能性の高さをはかりにかけるのである。
であれば、売り場にできることは、自明である。商品によって生み出されうる体験の可能性を、リアルに、具体的に提示することである。さらに突っ込んでみれば、小売店はもはや、お金を払ってモノを手に入れることが第一義でなくてもよい。未来の仮想体験、可能性の仮想体験のための、いわば体験型ショウルームとしてのファンクションがより重要になってくる。-これが未来の小売店の姿だと、私は考える。


さいごに
未来の小売店に必要なコミュニケーションは「お客の一人ひとりに必要な情報を提供し、買い物客の生活コンテクストや可能性シーンを描くこと」-これらはあくまで各論です。何より、これからの小売店にもっとも必要なことは、明るい未来を共有することではないかと考えています。共有する、と書いたのは、一方的な提示ではなく、売り手の方も一人の人間としてその未来を共有する、という意味です。
人々の経済活動の源は、よりよいくらしをすること、その希望の中から生まれると思います。ただ、いま人々は、将来の希望を持ちづらく、目先の消費を刺激されることに疲れ、飽き、嫌気がさしているのではないかと感じます。
小売店だけでなく、広告やコミュニケーションに携る全ての人間にとって、「明るい未来のイメージを描く」ことが、今の日本にもっとも必要とされているのではないかと思います。時代は変わりました。どでかいことでなくてもいい、今日や明日が少したのしくなる、そんな小さなヨロコビとの出会いは、きっと売り場から始まるはずです。

投稿者 shindate : 2009年10月31日 10:06

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